参謀の思考法
- 貴史 後藤
- 2月10日
- 読了時間: 5分
会社に従えば個性が必要と言われ、個性を出せば会社に従えと言われる。
会社にはよくあることで、中には反発する人もいるだろう。
大抵は大人しく言う事を聞き、なかには面従腹背するひともいるだろう。
今回読んだ本「参謀の思考法」の著者は大人しく言う事を聞くタイプの人間だ。
工場見学をしたさいに「なんでも言っていい」と案内役が言うので効率が悪いという意見を言ったところ案内役に一喝される。
ルールにも従う人間なのだが、社長がイレギュラー中のイレギュラーのため極秘裏にすすめようとするのを、「ルールと違うから」と止めてしまい社長と睨み合いをしている。
なんだかZ世代の話しを聞いているようだ。見た目はおじさん中身は子どもなのだろうか?
おそらくそうなのだろう。でも、著者は個性を持ちつつ会社のルールに従い貢献してきた。まさに個と団体を両立した人なのだ。
著者の名は「 荒川 詔四(しょうし) 」
元ブリジストンCEOを務め、ブリジストンがグローバル展開するための礎に大きく貢献した人物である。
この本は上司をどのような姿勢、考え方でサポートすればいいのか?に答えてくれる一冊。そして、本社と現場との関わりにも言及した一冊です。
本社と現場の関わり
本社と現場の関わりについてよく表されているエピソードがあるのでご紹介しよう。
そのエピソードは著者がタイ工場立ち上げで奔走しているエピソードだ。
タイ工場では問題があれば立ち止まって考えるヒマはなく走りながら考えるという状況。
そんな中で本社スタッフが監査の為にやってきた。在庫状況などをみていく中で品物の帳面上の数と実数がまったく合わない事がわかり、本社スタッフからズタボロに指摘される。
工場立ち上げから半年。
毎日うだるような暑さと湿気のなか、真っ黒になりながら、現地スタッフとの価値観にも悩まされながらも工場の運営を必死にやってきたことなど本社スタッフは知ろうともしない。
しかも、本社スタッフは「手が汚れるから」と現場には支給されない手袋まではめている。
この事に著者は怒りに震えた。
著者についてきた現場スタッフからも不満を言われ著者は孤立する。このままでは終われない、、、、、、
それから著者は現場スタッフを得意な作業に集中させるため、本社へ頭を下げに下げて事務スタッフの増員、チェック回数を増やし、毎日の棚卸しを敢行。
その努力の成果もあり再度監査のときは「格段に良くなった」と言わせる事ができた。
割とあるエピソードだと思う。僕も似た経験があってすごく共感できるエピソードでもあり、「本社と現場の信頼関係はこうやって崩れるんだな」とものすごく勉強にもなった。示唆深い。。。。。
そもそも本社は1円も稼いでいない。
本社は規定や決定事項の遵守を現場に求めますが、稼ぐ機能は持っていないのだから当然である。考えなくともわかりそうだが、規定や決定事項を「決まったことだから」と上から目線で伝えれば、信頼関係などきずけるはずがないのだ。
現場から本社へ提案するというのはハードルの高いもの。だからこそ「本社から現場へ提案しなければならない」という著者の言葉は重みがある。
上司をサポートするという考え方
多くの人は上司から指示を受けて仕事をするものだと感じているが、著者からすると「それは”部下”であって参謀ではない」らしい。つまり部下とは上司の手助けを受けて仕事をする存在で、参謀とは上司と同じ目線、課題を持ちつつ、上司をサポートする行動をするのが参謀であると定義している。
どうすれば上司と同じ目線、課題を持つことができるのか?
それは上司同士の会話に同席する。だと思われる。
著者が入社2年目のときのエピソードを紹介しよう。
本社では、「タイはもうダメだ。ファイアストンとグッドイヤーを相手にして勝ち目はない」などという声も出ていました。しかし、ここでファイアストン、グッドイヤーに勝てないようでは、いずれ食われる。なんとしても勝たなければならないんだ。 さて、どうするか......。 このような話をトップ層は入社2年目の私の前でも包み隠さず話してくれました。さらに、タイで、グローバル・ジャイアントに勝つために戦略・戦術についても議論を戦わせていました。 こうした議論に直接触れることで、私は、日々、自分が這いずり回っている現場の仕事の「意味」を理解できるようになるとともに、自分が現場で果たすべき役割についても考えさせられるようになっていきました。 引用P195
眼の前で上司たちが様々な課題に取り組んでいくさまを見れば、眼の前の仕事に意味が生まれ、「俺がやっている作業はこの大きな課題につながってるんだ」と現場で果たす役割を実感できる。
会社を存続させるためにはこれしかない。そう思える為にも上司同士の会話に参加するのは大きな意味がある。
このように上司と同じ課題を持つには、課題を実感できる環境が必要。その環境だからこそ上司と同じ目線を持つことができると感じた。
この目線と自分の役割を自覚するからこそ上司をサポートするという発想が生まれるのだと思う。
まとめ
会社人事には複雑な力が作用して配属が決まるもので、能力主義が浸透しつつあれど優秀な上司にあたることも稀であろう。そこに会社人事も絡むのだからまさに”上司ガチャ”
そんな運だけが頼りの状況であっても上司をサポートすることは、自分がコントロールできる数少ない要素だと思う。
僕もそんな状況の経験者だ。”上司が無能だ”。たしかにその状況に共感する。
しかし、上司と課題を共有して一緒に取り組んでいけるのなら、難易度が上がったとしても結果は出せそうだ。
運要素が強いところは運に任せ、コントロールできることに集中して今日も課題に、一緒に取り組んで行くのが建設的と思える。
というように「参謀の思考法」を読んで前向きな気持ちにわずかでもなれて、少しでも前向きに仕事に取り組めるようになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

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